ここでは、Giovanni Francesco Pressenda (1777-1854)以降、19世紀末までにイタリアで製作されたマスター・ヴァイオリン※(およびヴィオラ、チェロ)をオールド・モダン・イタリアンとして分類します。
この時代における G.F.Pressenda に代表される Torinoスクール※の楽器は、 A.Stradivari 以来と言えるほどの高い実用性を実現した点において、特筆すべき存在です。Cremona 黄金期の頂点を担った A.Stradivari と Guarneri del Gesù 以降のマスター・メーカー※達は、各々が最良と信じる製作スタイルを貫きましたが、総合的な実力でこの2大名器を凌駕することは叶いませんでした。これに対し G.F.Pressenda は、2大名器の実力を再び見直し、それに負けない美しい音色と力強い音量をバランス良く発揮させる製作スタイルを確立しました。このことから、いずれ寿命を迎え失われていくであろうオールド・イタリアンに代わり、次世代の最高の名器の座に就くのは G.F.Pressenda であろうと言われています。同様の思想は Giuseppe Antonio Rocca (1807-1865)など、これに続くマスター・メーカー達に引き継がれ、モダン・イタリアンへと繋がる源流のひとつになります。
その他の代表的なスクールとしては、Enrico Ceruti (1808-1883)から Gaetano Antoniazzi (1825-1897)へと繋がり、その後の Milano での隆盛の原点となった Cremonaスクール、Gaglianoファミリー※の子孫や Lorenzo Ventapane (w.1790-1843)らによる Napoliスクール、Raffaele Fiorini (1828-1898)が再興の祖となった Bolognaスクールなどがあります。 なお Torino では、 Antonio Guadagnini (1831-1881)や Francesco Guadagnini (1863-1948)など、Guadagniniファミリーの子孫も製作を行っていました。
この時代には、オールド・イタリアンの延長としての性格が強い楽器と、モダン・イタリアンの先駆けとしての性格が強い楽器が混在するのが特徴と言えます。前者は、メーカー※の個性が存分に発揮された楽器で、メーカー独特の音色を追い求めて製作されています。Napoliスクールはその典型と言えるでしょう。後者の典型は Torinoスクールや Bolognaスクールで、バランス重視で実用性に軸足を置いているのが特徴です。特に Torinoスクールの楽器は、上質な音色でソロ用途にも申し分ない音量を備えているため、ソリストを含む多くのプロフェッショナル演奏家が、メインの楽器として使用するケースも多いです。
オールド・モダン・イタリアンの中心的な価格帯は、2008年現在600〜4500万円前後です。中でも特に G.F.Pressenda や G.A.Rocca を中心とする Torinoスクールの作品は特に高く評価されています。
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